療育を本当に必要としている子が待機して通所できない理由とは?

自閉スペクトラム症
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ユリイカ
ユリイカ
こんにちは。ユリイカです。
私には自閉スペクトラム症の診断がある子どもいますが、
児童発達支援の事業所に空きが無く、1年半待機している状態です。

医師の診断もあって、愛の手帳(東京都の療育手帳)まで取得できているのに、
何故こんなにも待たなければならないのか。

その驚くべき理由と実態が判明したので、実際に私が見聞きしたことをありのまま書きたいと思います。
障がいを持つ子の親しては、正直複雑な内情でした…。

【1】療育とは?

療育とは、「治療」「教育」を略した言葉です。
苦手な分野に対して専門的な教育支援プログラムを受けることで、将来的に社会へ出て自立できるよう外部からサポートし、トレーニングをしていくことです。

我が子のようなASD(自閉スペクトラム症)の他に、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、発達障害を含む精神障害や知的障害、また身体障害のある幼児から高校生までの児童が対象で、主に未就学の児童が通所できる児童発達支援と、6歳から18歳までの障がい児が通所できる放課後等デイサービスがあります。

療育は、できるだけ早い段階から行うことが効果的であると言われています。
その理由は脳に関係していて、子どもの診断後に慌ててたくさんの専門書を読み漁ったところ、なんと6歳から7歳までに脳が完成してしまうそうで、なかには3歳までという説もありました。

だから、脳が形成される就学前の幼児期が一番重要な時期で、「保育園や幼稚園へ行く時間があったら、起きている時間をすべて療育に費やすべきだ」と書かれた海外の専門書を見て、私は慌てふためいた。

ユリイカ
ユリイカ
急いで療育とやらを受けなければ!
でも、どうしたら通えるの?
【2】療育を受けるために必要な「通所受給者証」を取得するためには?

児童発達支援や放課後等デイサービスを利用したい場合、自治体から発行される通所受給者証の申請が必要になります。

市区町村によって多少内容は異なると思いますが、通所受給者証は受給者証番号や支援の種類、月に何日通えるかを記す支給量などが書かれた三つ折り仕様で、ひと昔前の保険証に近いサイズです。

通所受給者証の申請対象は、以下になります

  1. 障害者総合支援法の対象となる359疾病の児童
  2. 身体障害のある児童
  3. 精神障害のある児童
  4. 知的障害のある児童

通所受給者証を申請するために必要なものは、以下になります

  • 通所給付費支給申請書
  • 障害者手帳または療育手帳、医師や臨床心理士等の意見書または診断書
  • 運転免許証健康保険証など身元確認ができる書類
  • マイナンバーが確認できる個人番号カードまたは通知カード
  • 世帯状況申告書または非課税証明書
  • 相談支援給付費支給申請書または児童支援利用計画案
    ※地域の障害児相談支援事業所または保護者がセルフプランで作成します。

申請先や申請手続きに必要なものは、自治体や市区町村によって異なる場合があるので、詳しくはお住いの福祉課に直接お問い合わせください。

【3】障がいや診断名がつかなくても通所できる?

この記事の本題はこちらです。
冒頭にも記述したように、我が子は自閉スペクトラム症の診断がついていて、さらには療育手帳も取得しています。

少し前までは、医師の診断がある児童だけが通所できると思っていたのですが、現在通所している児童発達支援事業所のグループレッスンに参加したある時。
4人グループの中で1人だけ、ちゃんと着席して落ち着いてレッスンを受けている子がいました

ユリイカ
ユリイカ
「あの子、何の障がいがあるんだろう?」

その時参加していたグループレッスンは2歳児を対象にした親子分離で、レッスン部屋の窓越しに親たちがカフェスペースで見守っているのですが、初回の会話ではどこの保育園や幼稚園に通っているか、そして2回目のレッスンでは子どもの進学の話になりました。

1人の子はADHD(多動症)の診断があり、希望していた幼稚園の入園を断られたと嘆いていました。もう1人の子は難病で身体に障がいがあるため、特別支援学校へ行くしかないと言っていました。

そしてもう1人の子は、1学年7クラスもあるマンモス幼稚園を受験すると聞いて驚きました。話を聞くと、3つ上のお姉ちゃんと比較して発語が少ないのが気になるそうで、診断は特にないとのこと。

ユリイカ
ユリイカ
(え…!?それだけで療育を受けられるの?
障がいも診断も無いのに?)

正直、障がい児の親としては複雑な心境でした。
その子だけ二語分もたくさん出ていて、他の子たちができないような運動ができたり、着席して創作活動も集中して取り組める。言葉にするのには抵抗がありますが、どうみても定型発達の普通の子にしか見えません。

かたや我が子は着席できないしスモックも嫌がって着ないし、もう1人の子も部屋の中を縦横無尽に走り回っていて、順番を待てない様子。

子どもを比較することはお互いのためによくないと分かっていても、あまりにも違いがありすぎてグループレッスンの度に訳もなく落ち込んでしまいました…。

ユリイカ
ユリイカ
その時は、たまたまその子だけが特別なのかと思っていたのですが…

この春から新たな3歳児のグループレッスンに参加しているのですが、そこでも4人中2人がマスクも嫌がることなく着用できて、普通にレッスンを受けることができていた。

そしてお母さんとの会話の中ではやはり診断もついていなく、さらには七田式教室やヤマハ音楽教室にも通っていると聞いて、内心「そんなところにも通えるなら、わざわざ療育に通わなくてもいいのでは…」と思ってしまった。

診断も障がいがあるのに、児童発達支援事業所に入れない…
療育を待機していて思うこと

発達障害と診断される子どもや大人が、ここ数年で増加しています。
ADHDは10人に1人、ASDは1000人に5人の確率と言われていましたが、米国では68人に1人で約1.5%とされています。

過去7年間のデータを比較した著書によると、自閉症(ASD)は約3.1倍注意欠陥・多動性障害(ADHD)は約6.3倍学習障害(LD)は約8倍に増えています。

そういった背景には、発達障害の診断基準が変更されたことにあり、同時に発達障害の認知度もあがってしまったために「うちの子、もしかしたら…」「自分は発達障害かも…」と、過剰に心配する人が急増してしまったことが大きく影響しているのかもしれません。

なかには診断結果を知ることを恐れて病院へ行かない方もいるようですが、いま発達障害を専門としたクリニックや児童発達支援の事業所は、そういった心配する方があまりにも多いため、病院や事業所によっては半年から1年以上待ちといった状況です。

ユリイカ
ユリイカ
私自身もパニック障害の持病に長年悩まされていているため、ある時その原因が発達障害にあるのかもしれないと思い、実際に有名な先生にかかるため1年待ちました。

文部科学省の調査によると、実に4割もの発達障がい児が療育を受けられていないという現状報告があります。

その背景には、「病院にも行っていなければ診断もついていないけど、子どもの発達がちょっと気になる」といった程度の方の利用が年々多くなっていることがひとつの要因になっていて、なかには定型発達のお子さんを幼児教室の代わりに通わせている方もいるかもしれません。

診断がなくても障害の有無に関係なく、児童発達支援が受けられる。
一見聞こえが良くて手厚い制度のように感じるかもしれませんが、そのおかげで本当に支援が必要な子どもたちに順番がまわってこないことが気になって仕方がありません。

前述にもあるように、療育は少しでも早い段階から通所することで効果を発揮します。待機していた時間分を後から取り戻すことはできません。

この件については賛否両論あるかもしれませんが、児童発達支援を管轄している厚生労働省の方で、その申請基準や優先順位等ある程度の基準や制限をしっかりと設けた上で管理していただけたらと思います。

ということで次回のコラムは…

実際に療育へ通所してみた体験談と気になるその効果

を書きたいと思います!

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